
画像は、国立市青柳の西方にある「無名古墳」を南から見たところです。東京都遺跡地図には未登録となっていますが古墳ではないかと考えられており、聞き取り調査から河原石積の石室の存在が推定されているそうです。これが古墳であるならば、位置的に「青柳古墳群」に属するのではないかと思われます。

1995年に発行された『多摩地区所在古墳確認調査報告書』には「削平されて平坦ではあるが、畑地内に径約7mの円形の高まりが約80cmの高さで残っている。南側は道路によって若干削られている。(37ページ)」との記述がありますが、現在はすぐ北側まで宅地化されており、高さも更に低くなっているように感じられます。墳丘上には祠が祀られており、周囲には石室の石材かもしれない河原石が見られます。。。
<参考文献>
くにたち郷土文化館・国立市教育委員会『国立の古墳-四軒在家遺跡の発掘調査-』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
- 2013/08/04(日) 23:34:04|
- 国立市/青柳古墳群
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画像は、国立市青柳にある「青柳2号墳」を南東から見たところです。
円墳と推定されているそうですが、発掘調査等はされていないようなので詳細はわかりません。屋敷墓となっていて改変が著しいのですが、多摩川流域では数少ない円筒埴輪が採取されているそうで、古墳であることは間違いないようです。
この古墳のすぐ西12mの地点には「青柳1号号墳」が発掘調査されています。後世の撹乱を受けていたものの、河原石積みの横穴式石室と推定される主体部が発掘されたほか、ここでも円筒埴輪や土師器坏が出土しているようです。
面白いのは、青柳1・2号墳で円筒埴輪が出土しているのに対して、同じ古墳群に存在する四軒在家1~11号墳からは埴輪は採取されていません。古墳が築造された時期や被葬者の違いが推定されているようです。
<参考文献>
くにたち郷土文化館・国立市教育委員会『国立の古墳-四軒在家遺跡の発掘調査-』
国立市教育委員会『青柳古墳』
- 2012/09/25(火) 00:14:34|
- 国立市/青柳古墳群
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「四軒在家遺跡」は、国立市南西部にある青柳段丘の縁辺に位置します。平成13(2001)年7月から翌14年3月にかけて行われた区画整理事業に先立つ四軒在家遺跡の第2次発掘調査により、10基もの古墳が一度に発掘されました。これらの古墳は開墾等により墳丘が失われていましたが、周溝の形状からすべてが円墳であることがわかったそうです。また、埋葬施設として多摩川の河原石を積んで造った”河原石積横穴式石室”の一部が破壊されずに残っていて、多数の副葬品が発見されたそうです。
すべての古墳の墳丘は開墾等により削平されていたものの周溝が検出されていて、古墳時代後期(7世紀前半)に築造された円墳であると考えられています。この10基の古墳のうち最も石室の状態の良い「四軒在家1号墳」が国立市矢川にある四軒在家公園に移築保存されています。画像はその古墳を西から見たところで、国立市の遺跡番号10-3番にあたる古墳です。
画像の赤い弾性舗装された部分が周溝を表しています。

石室は、本来は何段もの大きな河原石が積み上げられて天井を覆うように造られていた「横穴式石室」で、玄室が弓状になる「胴張り石室」と呼ばれる構造のものです。四軒在家遺跡のすべての古墳がこの技術が用いられています。この1号墳は残念ながら壁石は3〜4段しか残されていなかったそうで、天井にかけての部分は失われています。

当時の航空写真を見ると、ひとつの区画に10基の円墳もの周溝が並ぶ光景が壮観で、東京都内でも数少ない貴重な発見であるとあらためて感じます(ちなみにその後、平成16(2004)年にはこの区画に隣接して「四軒在家11号墳」の周溝と石室も発見されています)。
四軒在家01号墳……外周径20~21mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃。
四軒在家02号墳……外周径18~19mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は刀子、小玉。
四軒在家03号墳……外周径18~19mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、釘、切子玉、丸玉、小玉。
四軒在家04号墳……外周径21mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、釘、小玉。
四軒在家05号墳……外周径23~24mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、釘、切子玉、丸玉、小玉。
四軒在家06号墳……外周径27mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、釘。
四軒在家07号墳……外周径21~24mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は刀子、鉄鏃、釘、両頭留金具。
四軒在家08号墳……外周径27mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、両頭留金具、勾玉、丸玉。
四軒在家09号墳……外周径17~18mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は直刀、刀子、鉄鏃、釘。
四軒在家10号墳……外周径10~11mの円墳で、埋葬施設は河原石積横穴式石室。
出土遺物は釘。
四軒在家11号墳……外周径約20mの円墳で、埋葬施設は未確認。

JR南武線矢川駅から徒歩15分ほどの、四軒在家公園の北東に「四軒在家1号墳」はあります。史跡公園として整備されており、いつでも見学することが出来ます。また、公園内には国立市教育委員会による説明板が立てられています。
<参考文献>
くにたち郷土文化館・国立市教育委員会『国立の古墳-四軒在家遺跡の発掘調査-』
国立市教育委員会『東京都国立市 市内遺跡緊急調査報告3 平成11〜15年度』
現地説明板
- 2012/09/18(火) 02:29:04|
- 国立市/青柳古墳群
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