古墳なう

ご〜ご〜ひでりんの古墳探訪記

「長房町中郷古墳」

「長房町中郷古墳」

 「中郷古墳」は、八王子市長房町に所在したとされる古墳です。すでに開発により消滅した古墳で『東京都遺跡地図』にも未登録の古墳ですが、発掘が行われた際の記録が残されており、八王子市史編さん委員会より発行された『八王子市史 下巻』に、この中郷古墳についての詳細が書かれています。

 さて、本古墳は川口古墳・ひよどり山古墳などと同じくいわゆる積石塚古墳であることは前述したとおりであるが、その規模、形状について故逸見敏刀氏の報告に基づき記載することとする。
 古墳は慈眼寺の背後の舟田に通じる村道に一部がかかって畑の中から発見された。古墳の外形はすでに削平されて地ぶくれがみられるのみで墳丘らしいものはまったくなかった。石室は表面を黒土に薄く覆われ、さらに礫で厚く覆っていた。このために純粋な積石塚とはいい切れない。この点は川口古墳・ひよどり山古墳などと一致し、また未発掘の調井、犬目などの古墳とも一致するものと予想される。
 石室の長軸方向は南北に長く八尺二寸(二・四五メートル)幅は二尺六寸幅は二尺七寸(八一センチ)深さ二尺五寸(七五センチ)で、奥壁には二個の大形石が用いられ、側壁および出口に当たる部分は大形石を根石に使い、その上には円形に近い自然石を二段または三段に積み重ねた長方形の石室である。羨道部は明らかでなく竪穴式石室であろうか。しかし奥壁および側壁の根石の置き方などの石の構架技術にはなお古墳時代後期の横穴式石室の技術の名残をとどめている。石室の床面は五~六寸大(百五センチ~一八センチ程度の自然石の偏平なもので敷きつめてあり、各石の間げきには小石をはめ込み、壁の裏には砂利が充てんしてあった。石室内からは副葬品は一点も発見されなかったという。
 その構築年代については前期の諸古墳と同一時期のものであると考えられる。(『八王子市史』186ページ)

 中郷古墳の所在地についての情報は、同書の「慈眼寺の背後の舟田に通じる村道に一部がかかる畑」という記述のみです。古墳は画像の道路の真下に消えてしまったか、それとも道路の右側あたりの宅地となって消えてしまったか、といったところではないかと思われますが、正確な所在地は特定することは出来ず、古墳の痕跡は見ることができませんでした。


「長房町中郷古墳」

 画像は、八王子市の裏高尾町から元本郷町までを流れる南浅川です。北浅川と合流して浅川となり、その後、日野市の落川町あたりで多摩川と合流します。
 この南浅川の左岸からはほかに、前回紹介した「船田古墳」が発掘調査によって確認されており、少なくとも複数基の古墳が存在したことは間違いないようです。。。

<参考文献>
八王子市史編さん委員会『八王子市史 下巻』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』


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  1. 2017/09/03(日) 21:54:28|
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「船田古墳」

「船田古墳」

 画像は、八王子市長房町にある「船田古墳」を南西から見たところです。『東京都遺跡地図』には、八王子市の遺跡番号463番に登録されている古墳です。

 この古墳の墳丘はすでに削平されて消滅しており、昭和43年の八王子船田遺跡調査会による発掘調査後に埋め戻され、都営長房団地内に緑地公園として保存されています。周溝の大きさや形、石室の位置がわかるように工夫されており、ピンク色の円形の部分が古墳の墳丘、中央のグレーの方形の部分が石室ということになるようです。公園内には「船田古墳」の名称で説明板が設置されています。
 この説明板には「この地区は、都営長房団地の造成に先だって昭和46年(1971)8~9月に発掘調査されました。この古墳はその際に発見されたもので、墳丘が削平されていたため、古墳があることは知られていませんでした。直径14m、幅約1mの周溝をめぐらした小規模な円墳です。中央部に長さ4.7m、幅2.7mの河原石を積んだ石室があり、この部分に遺体を埋葬したものです。過去に盗掘されたらしく、副葬品は残っていませんでした。この古墳は、7世紀前半ごろに築かれたと考えられています。現在この古墳は保存のために埋めもどしてありますので、その場所がわかるように色の違う石を並べてあります。」と書かれています。


「船田古墳」

 画像は、発掘当時の船田古墳のようすです。
 この古墳の正確な規模は、南北径14.20m、東西径13.20mの円墳で、幅0.8m~1.7mの周溝からは土師器坏が一点出土しています。主体部は河原石を小口に積んだ片袖横穴式石室で、現存長は3.67m、玄室長2.72m、奥壁幅0.88m、玄室幅は1.00mであったそうです。
 昭和2年(1927)12月には、この古墳の南西4~500m程の地点から故逸見敏刀氏により積石塚と思われる古墳が発見されており、『八王子市史 下巻』に「長房町中郷古墳」として紹介されています。また、付近には「龍塚」という塚の伝承が残されているようです。現在のところ、この周辺から発見された古墳は船田古墳1基のみであるようですが、複数の古墳が存在した可能性も考えられるのかもしれません。。。


「船田石器時代遺跡」

 同じ、長房団地内には「船田石器時代遺跡」が存在します。昭和2年(1927)の発掘調査で発見された縄文時代後期の敷石住居跡です。発見された当時としては大変貴重であったことから翌年に国の史跡に指定されていました。その後も発掘調査が行われ、昭和43年以降、船田古墳を含む318基住居跡が確認されています。
 遺跡が保存された船田公園内の東側には「史蹟船田石器時代遺蹟」と刻まれた石碑が立てられています。


「船田石器時代遺跡」

 公園内は特に見どころはなく広場となっているようです。


「船田石器時代遺跡」

 この遺跡の説明板を見過ごしたまま帰ってきてしまったのですが、後に調べてみると、国の指定は昭和44年(1969)に解除されているようですので、説明板は設置されていなかったのかもしれません。。。

<参考文献>
八王子市史編さん委員会『八王子市史 下巻』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
八王子市郷土資料館『多摩の古墳』
現地説明版


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  1. 2017/09/02(土) 23:08:43|
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武蔵陵墓地 その4「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ、香淳皇后陵)」

武蔵陵墓地 その4「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ、香淳皇后陵)」

 画像は、香淳皇后の御陵である「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ)」です。


武蔵陵墓地 その4「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ、香淳皇后陵)」

 御陵前には「香淳皇后武藏野東陵」の石碑が建てられています。

 天皇陵は今後、天皇陛下のご意向により、天皇・皇后両陛下の御陵が同じ敷地の中に寄り添う形で造られ、大きさも2割ほど小さくなるそうです。


武蔵陵墓地 その4「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ、香淳皇后陵)」

 武藏野東陵も、これまで紹介した三陵と同様に見事な上円下方墳です。
 武蔵陵墓地は、この武藏野陵が造営される以前は「多摩御陵」と称していましたが、これは現在でも通称として使われているようです。


武蔵陵墓地 その4「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ、香淳皇后陵)」

 武蔵陵墓地の最寄駅であるJR中央線高尾駅から、お隣の西八王子駅付近の追分交差点までの甲州街道沿い約4.2kmにわたり、約760本のイチョウが植えられています。これは、大正天皇陵である「多摩御陵」に伴う道路改修後に造営を記念して植えられたものであるそうです。

 武蔵陵墓地参拝の帰り道、黄金色に染まる甲州街道を見ることができました。。。

<参考文献>
八王子市史編さん委員会『八王子市史 下巻』


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  1. 2017/09/01(金) 00:51:44|
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武蔵陵墓地 その3「武藏野陵(むさしののみささぎ、昭和天皇陵)」

武蔵陵墓地 その3「武藏野陵(むさしののみささぎ、昭和天皇陵)」

 画像は、昭和天皇の御陵である「武藏野陵(むさしののみささぎ)」です。
 

武蔵陵墓地 その3「武藏野陵(むさしののみささぎ、昭和天皇陵)」

 歴代の天皇の中でも在位期間が最も長く、また長寿であったのが昭和天皇であるそうです。
 御陵前には「昭和天皇武藏野陵」の石碑が建てられています。



昭和天皇武蔵野陵3

 昭和天皇が崩御された時のことは、よく覚えています。街からは派手なネオンが消えて、国全体が喪に服していました。また、テレビからもCMが消え、またバラエティー番組等も自粛され、様々なお祭りやパレード、イベント等の多くが中止となっていました。(確か、プロ野球の優勝の際のビールかけ等も行われなかった)
 当時まだ若く無知だった私は、天皇の存在について、自分が日本人であることについて考えさせられたように思います。。。


 次回、「武藏野東陵(むさしののひがしのみささぎ)」に続く。。。

<参考文献>
八王子市史編さん委員会『八王子市史 下巻』


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  1. 2017/08/31(木) 10:14:24|
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武蔵陵墓地 その2「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ、貞明皇后陵)」

武蔵陵墓地 その2「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ、貞明皇后陵)」

 大正天皇の御陵である「多摩陵(たまのみささぎ)」から70メートルほど東隣に、昭和26年(1951)に崩御された貞明皇后の御陵である「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ)」が所在します。


武蔵陵墓地 その2「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ、貞明皇后陵)」

 天皇陵は、第30代敏達天皇陵までは前方後円墳で、用明・崇峻・推古天皇陵が方墳、第34代の舒明天皇から第42代の文武天皇までは主に八角形墳が採用されているそうです。八角形墳は、方形の台座状部に八面体の円丘を乗せた特異な形状を呈しており、これは天皇陵特有の形状であると考えられているようです。そして、この伝統が途切れた後、明治天皇の陵墓で上円下方の形状が採用され、大正3年(1914)に崩御された皇后の伏見桃山東稜も上円下方墳です。


武蔵陵墓地 その2「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ、貞明皇后陵)」

 貞明皇后は昭和26年(1951)5月17日に崩御されています。
 一般拝所に段がないことを除けば陵の構成は大正天皇陵とほぼ同じという、上円部、下方部ともに三段築成の上円下方墳です。


武蔵陵墓地 その2「多摩東陵(たまのひがしのみささぎ、貞明皇后陵)」

 次回、「武藏野陵(むさしののみささぎ)」に続く。。。

<参考文献>
八王子市史編さん委員会『八王子市史 下巻』


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  1. 2017/08/30(水) 01:45:45|
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