
「宿屋敷西遺跡」は、旧野川の左岸の台地縁辺部に位置する遺跡です。
過去に、昭和64年(1989)から平成3年(1991)にかけて行われた第1地点の発掘調査では「古屋敷塚古墳」の周溝が検出されており、さらに近年、平成30年(2018)に行われた第5地点の発掘調査により、「宿屋敷西遺跡1号墳」が確認されています。
古墳は、周溝の約2/3が調査され、内径約13m、外径約17.5mの規模で、北西部に幅約1mのブリッジを持つ円墳であると推定されています。出土遺物より、古屋敷塚古墳からやや遅れて、土屋塚古墳とほぼ同時期である5世紀第3四半期に築造されたと考えられているようです。
特筆すべきは、有袋鉄斧・鉄鐸・刀子などの鉄製品が出土していることで、これまでの鉄鐸の出土は名古屋以西、近畿、岡山など西日本に集中していて、東日本では群馬と長野に1例ずつ認められるのみなのだそうです。
もちろん、この鉄鐸や有袋鉄斧の出土は狛江市内で初めてのことであり、特に鉄鐸の出土が全国的に見ても希少な事例であるようです。
いったいどんな人物が埋葬されていたのか、とても興味深いですね。
画像は、昨年2018年の東京文化財ウィークの狛江市の企画事業「狛江の古墳を歩こう」に参加した際に撮影したものです。発掘調査は終了して、区画整理が進行していた頃と思われます。
現在は宅地となり、古墳の痕跡は見ることはできません。。。
<参考文献>
狛江市教育委員会『市内遺跡発掘調査報告書Ⅵ』
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- 2019/11/08(金) 23:24:19|
- 狛江市/狛江古墳群(岩戸)
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