
昭島市は、立川段丘、青柳段丘、拝島段丘という、多摩川に面する3つの段丘によって構成されています。昭島市内の古墳のすべては、このうち最も低位の拝島段丘面で確認されています。
「大神古墳」は、昭島市大神町3丁目、拝島段丘の東端に位置する古墳で、平成7年(1995)7月のマンション建設における事前調査で発見されています。『東京都遺跡地図』には、昭島市の遺跡番号44番に登録されている古墳です。
この古墳名となっている「大神」は、『日本霊異記』に登場する「鴨の里」に否定されているという、古代との関連が想定される地域です。戦時中には、土地所有者により直刀2振が発見された地域であり、この場所も石室などが発見される可能性が想定されていたようです。
7月から本調査が行われると、やがて石室側壁が確認され、さらに内部の土が掘り下げられると直刀が発見されました。
墳丘の規模は直径14mの円墳で、周囲に幅175cmの周溝がめぐらされていました。埋葬施設は河原石乱積みの胴張構造の横穴式石室で、太刀や鉄鏃、砥石などが出土しています。また、周溝から出土した土師器等によって7世紀前半に築造されたと推定されています。
画像は、大神古墳の跡地周辺の様子です。古墳はマンション建設のため消滅しています。
実は2年ほど前、michikusa520さんの「滋味コフン」というサイトで、古墳の跡地であるマンションの横に怪しいマウンドがあることが書かれているのを拝見しました。「しまった。ぼんやりしていて全然気がつかなかった。。。」と後悔しても後の祭り。すっと気になりつつもなかなか見に行くチャンスがなかったのですが、昭島市の文化財講演会に参加したのをきっかけに、その足で確認に行ってみました。
「むーん、確かにある。」
図書館で調べてもネットで検索しても何も出てこないので、土地の所有者かと思われるお宅で聞いてみたのですが。。。
結論として、耕作に邪魔な石や残土を積み上げた山であるということでした。(がっくし。。。)

JR昭島駅から徒歩5分。
昭和町1丁目の昭島市郷土資料室では、大神古墳から出土した直刀が公開されています。

大神古墳出土の直刀です。
長さ2.35cmの玄室には扁平な河原石が敷き詰められており、その上から発見されたそうです。直刀の長さは92cmあります。
大神古墳は、35cmの基準尺で整然と設計されていることがわかっており、被葬者はこの地域の有力者であったと考えられています。

石室内から直刀が出土した状態の、発掘当時の写真が公開されていました。
<参考文献>
昭島市教育委員会・昭島市大神古墳発掘調査団『大神古墳』
昭島市教育委員会『考古学からみた昭島市』
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- 2019/12/05(木) 23:50:02|
- 昭島市の古墳・塚
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こんばんわ。
あれ、やはりただの土の山だったのですね・・・。
さすがにちょっとおかしいなぁ、とは思いましたが・・・。がっくしです。お騒がせしました。
- 2019/12/16(月) 02:10:01 |
- URL |
- michikusa520 #-
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michikusa520さま、こんばんは。
michikusa520さまの記事を読んで、ずっと気になって仕方がなかったのですが、先月ようやく行ってみることができました。
ピンポンしたお家のおばさまに、「あれは残土の山よ」と笑われて、「ですよねー」という感じで恐縮して帰ってきました。笑。
でも、それはそれで楽しかったですし、行ってよかったです。
- 2019/12/17(火) 18:34:24 |
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- ご〜ご〜ひでりん #G67hs.TE
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