
栃木県は圧倒的に農業に特化した県だと思っていますが、上三川町内をブラブラと散策していても、日産自動車の工場の広大な敷地以外はほとんどが農地なのではないかと感じるくらい田んぼや畑が多いです。
主要道路以外は信号に引っかかることもほとんどありませんし、坂道もあまりありませんので(関東平野は基本的に平らですからね)、自転車でも楽に長距離を移動することができます。
そんな中、田んぼや畑の中にポツリと塚が残されている、という光景を数多く見かけました。
もちろん、そのすべてが古墳跡であるわけではありませんが、塚の多くにはお堂や祠が祀られていたり、石碑が建てられていたりと様々で、なかなか興味深いわけです。笑。
というわけで、画像は県道下岡本上三川線を走っていて上郷の田園の中で見かけた塚です。
「むむ!古墳跡では?」と、お参りしてから何枚か写真を撮りました。
後日、この塚について調べてみたわけですが、実はかなり知られた塚で、塚にまつわる伝説が残されていることを知りました。

むかしむかし、馬になりたいと願うネズミがいたそうです。
ある夜、夢の中にお地蔵様が現れてねずみにこう言いました。「35日間休まずに私に世の中のことを教えてくれたら、お前の願いを叶えてあげよう。」そこでねずみは、毎日お供え物を運んでは、お地蔵様に世の中の出来事を教えました。
ところが、いよいよ願いが叶うという当日、ねずみは嬉しさのあまり興奮してしまい、通りがかりの女の子のお菓子を奪い、お地蔵様に備えて「早く馬にしてください」と頼みました。お地蔵様は「今すぐ馬にしてあげよう」とおっしゃったそうです。
馬になったと思い込んだネズミが喜んで小川をのぞきこむと、驚いたことに、顔はたしかに馬なのですが、体はいままで通りのねずみのままでした。
ねずみは恥ずかしさのあまり身体を隠したくなり、お地蔵様の後ろの石を掘り続けてとうとう死んでしまいました。
哀れに思ったお地蔵様は死んだねずみの姿を馬頭観音に変えて、お地蔵様とともに人々や馬の幸せを守るようになったそうです。。。
なんと!このお話は、『まんが日本昔ばなし』で「ネズミ観音さま」のタイトルででアニメ化されています。
市原悦子さんと常田富士男さんが声を使い分けて、独特の語りで一人何役もこなすという、とても個性的で独自の世界観を持つ、深みのあるアニメでした。(歳がばれますね。。。)

塚上の様子です。
お堂が祀られており、周囲には多くの石碑が建てられています。
あまり高さはないようですし、少なくとも古墳跡ではないのかな?という印象。。。

ちゃんとお参りしてから、お堂の中も撮らせていただきました。
死んだねずみは馬頭観音に変えられたそうですが、どの石塔なんだろう。。。

塚の東側に石碑が建てられている様子。
馬に関係する石碑が多いです。
トラクターとかが出てくる以前は馬が頑張っていたんですね、きっと。。。

塚の西側の様子。
こちら側には馬頭観世音の石塔が建てられているようです。。。
<参考文献>
上三川町『上三川町史 資料編 原始・古代・中世』
上三川町教育委員会『上三川町の古墳Ⅰ』
上三川町教育委員会『かみのかわ歴史百話』
民話美寿々会「しらさぎ」『しらさぎの里「上三川のおはなし」』
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- 2021/01/31(日) 20:40:55|
- 上三川町の古墳・塚
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こんばんは!
そうかぁ。ポツンと佇む祠が日本昔話の題材になっていたりするのですねぇ。何だかイイなぁ(*^_^*)
凝灰岩の祠の中の石仏ですが、右側のものが馬頭観音のようです。左は如意輪観音のようですが、中央のものは難しいなぁ??
「馬力神」や「愛馬之碑」は、人と馬の深い関係を感じる素敵な碑ですね!
- 2021/01/31(日) 23:11:59 |
- URL |
- torikera #frK3hhYY
- [ 編集 ]
torikera、こんばんは!
そうですか〜、やっぱり右側のが馬頭観音ですよね。
ということは、右のが「元ネズミ」ということなのでそうか。。。
「馬力神」や「愛馬之碑」はとないではあまり見たことがありませんでしたが、栃木県内では数多く目にしますし、「庚申塔」は都内では数多く見かけましたが、栃木では少なめです。土地によって色々だなと感じます。
「富士塚」を栃木県内であまり見かけないのは残念です。。。
- 2021/02/02(火) 17:25:11 |
- URL |
- ご〜ご〜ひでりん #G67hs.TE
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