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古墳なう

「大都市、東京の失われた古墳を探せ!」をテーマに、 ご〜ご〜ひでりんが実際に現地に足を運んで確認した古墳や塚の探訪記録。

東谷古墳群その1 栃木県宇都宮市「笹塚古墳」

宇都宮市「笹塚古墳」1

 雀宮宿から真岡に抜ける県道である亀山街道と上三川街道とが交差する、「東谷町」交差点周辺が東谷と呼ばれる地域で、古来より「東谷十塚(とうやとづか)」と呼ばれる、多くの古墳が密集する地域です。

 この東谷という地名は、古くは「当矢」と書いたそうです。
 日本武尊が蝦夷征伐のために下野国に入った際、尊の軍は長旅により疲れ果てたので、この地で兵を休ませました。尊が古墳に群れ交う鶴をめがけて矢を放ったところ一羽に命中。地上に落下しました。驚いた兵士が点検したところ、矢は両方の翼を射抜き、羽交い締めの状態となっていました。
 これを見た兵士たちは再び士気を鼓舞して蝦夷の地に攻め入ったそうです。
 これによりこの地は「当矢」と改められ、古墳群の中には「鶴舞塚」の名も今日まで伝えられています。


 画像は、宇都宮市東谷町に所在する、夏の「笹塚古墳」です。

 広く広がる田園風景の中にぽっかりと浮かぶ笹塚古墳の姿は雄大でとても美しいです。


宇都宮市「笹塚古墳」0

 ちなみに冬に訪れるとこーんな感じ。

 笹塚古墳は、田川東岸の台地上の標高80mに位置する大型の前方後円墳で、平成18年度から20年度にかけて3回の調査が実施されています。

 全長は、正確なサイズはわからないようですが、105mほどと推定されています。
 幅33〜35mの内掘、幅7m〜9mの外掘という、中堤を挟んだ二重の周堀が確認されており、古墳の総長は210mを超え、栃木県内で最大の墓域であることがわかっています。

 早速古墳に登ってみましょう。。。


宇都宮市「笹塚古墳」2

 前方部の様子です。
 古墳の西側、県道上三川線の側からみたところです。

 この県道により前方部の西端は若干削られているようです。

 墳丘は三段に築かれており、斜面には河原石により葺石が葺かれています。
 また、墳頂部と二段目の平坦部斜面には埴輪が樹立されていたこともわかっています。

 ちなみに一段目の平坦部にも同じように埴輪が樹立されていたことが想定されていますが、墳丘に沿って造られた水路によって一段目平坦部が削られており、樹立された埴輪は確認されなかったようです。


宇都宮市「笹塚古墳」3

 入り口に建てられた「史跡 笹塚古墳」の石碑。

 この横には宇都宮市教育委員会による標柱が設置されており、次のように書かれています。

 笹塚古墳
 この古墳は、前方部を西に向けて築かれた前方後円墳で、市内では最大の規模である。後円部の墳頂に薬師堂が建っている。古墳の周りをめぐる周溝は、現在水田になっているが、畦道の様子から盾型であったことがわかる。墳丘の周辺から円筒埴輪や土師器などの破片が出土している。
 本格的な前方後円墳としては、県内では最も早い時期に築かれたもので、当時の古墳文化を知る上から重要な古墳である。



宇都宮市「笹塚古墳」4

 前方部から後円部を見たところです。

 前方部の幅は48m、高さ9m、後円部の直径は63m、高さ15mで、実際に登ってみるとかなり高さのある古墳であることがわかります。

 後円部に建てられている薬師堂が見えますね。。。


宇都宮市「笹塚古墳」5

 薬師堂です。
 祀られている仏像は、釈迦如来と薬師如来です。

 このお釈迦様は、東谷薬王院が存在するころにはこのお寺にあって、4月8日の花祭りには盛大にお祭りが行われ、参拝者も多かったといわれています。

 寺子屋としても栄えた寺であったそうですが、その後の神仏分離令や廃仏毀釈により廃寺となり、台風による本堂倒壊なども重なって消滅しました。

 このお寺がなくなったことにより、お釈迦様を薬師堂にお移ししたということです。


宇都宮市「笹塚古墳」6

 薬師堂のある後円部から前方部を見たところ。


宇都宮市「笹塚古墳」7

 古墳の南側は、盗掘によりザックリとえぐられていて痛々しいです。
 こうした崩れた部分から風雨による崩壊が起こ理、どんどん覆土が流失しますので、なんとか修復しておけないかとハラハラしますね。。。

 かつては、この盗掘孔は中心部の石槨まで到達しており、何体かの仏像がのちに祀られたといわれていますが、この様子は見ることはできませんでした。

 東谷古墳群シリーズ、次回に続きます。。。

<参考文献>
辻光義『歴史の里 雀宮を歩く』
吉野益太郎『今昔雀宮』
宇都宮市教育委員会『宇都宮の遺跡』
宇都宮市教育委員会『宇都宮市遺跡分布地図』
栃木県教育委員会『栃木県埋蔵文化財センターだより やまかいどう』
現地説明版


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  1. 2021/06/21(月) 23:01:14|
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