
画像は、大田区田園調布5丁目に所在する「八幡神社」を南西から見たところです。この神社の敷地内には「八幡神社境内古墳」という名称の古墳が存在します。『東京都遺跡地図』には、大田区の遺跡番号159番の古墳として登録されています。
この古墳は、昭和57年度から59年度にかけて行われた東京都心部遺跡分布調査において把握されています。昭和60年(1985)に東京都教育委員会より発行された『都心部の遺跡』にはこの古墳について、「八幡神社境内に墳丘の一部が残り、石室の石材と推定されるものも認められる。今回の調査で存在を確認。」と記載されています。

画像が、八幡神社境内と社殿のようすです。『都心部の遺跡』の分布図(第6図)を参考にすると、社殿の左奥(北側)あたりが古墳の所在地ではないかと思われます。果たして「石室の石材と推定されるもの」は残されているのでしょうか。

社殿北側のようすです。うっすらと塚状に盛り上がっているようにも見えますが、自然地形にも見えますし、古墳の残存部分であるのかよくわかりません。「石室の石材と推定されるもの」も見ることは出来ないようです。

この木の根にあたる場所が盛り上がっているようですが、古墳跡なのでしょうか?まさか?。。。

社殿の東側のようすです。石段が設けられており、おそらくは、かつてこの奥に境内社が祀られていたものと思われますが、現在は移されたと思われ、何も祀られていないようです。かつて古墳や塚の墳丘上に祠が祀られた事例は数多く存在していますし、この場所の表面観察を試みてみたところ…

なんと!わずかながら凝灰岩らしき石が露出しています。
果たしてこの場所が、東京都心部遺跡分布調査において把握されたという「八幡神社境内に残る墳丘の一部が」であり、この石が「石室の石材と推定されるもの」であるのかどうか確信には至りませんが、古墳である可能性は十分に考えられる場所ではないでしょうか。
実はこの八幡神社境内古墳は以前にも一度掲載したのですが、どうしても腑に落ちなくてもう一度訪れてみました。最初の訪問のときにはこの露出した石材らしき場所は見落としていたのですね。。。
神聖な場所ですからすぐに発掘調査が行われる可能性は考え難いところですが、今後の調査の進展が楽しみな場所です。。。
<参考文献>
東京都教育委員会『都心部の遺跡 1985』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
大田区教育委員会『大田区の文化財第30集 考古学から見た大田区 ―横穴墓・古代・中世 資料集―』
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- 2017/05/11(木) 10:48:26|
- 大田区/田園調布古墳群
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