
画像は、日光市猪倉に所在する「犬塚」を西から見たところです。
この塚は、通り掛かりに偶然見つけたのではなく、前回取り上げた塚群について図書館で調べていてその存在を知りました。
正確な塚の所在地がわからず、近隣にて地元の人に場所をお聞きして、塚を探してウロウロしていたのですが、なんと道をお聞きした方が心配して軽トラで駆けつけてくれて、場所まで案件していただきました!(しかもその後、未発見の塚の場所までも案内していただいたりして、ホントになんとお礼を言っていいのかわからないのですが、心の底から感謝です。)
撮影した日が、ちょうど田んぼに水を入れて始めた時期で、逆さ富士ならぬ「逆さ犬塚」という感じで、いい写真が撮れました。笑。

戦国時代、この地方では日光山勢、宇都宮氏、鹿沼の壬生氏などの勢力争いが繰り広げられていたそうです。
ときに天正年間、徳雪斎は鹿沼城の支配権を手中に収めるため、鹿沼坂田山の城主である甥の壬生上総介綱雄を暗殺してしまいます。
壬生氏を攻略して我がものにしようという企みでしたが、逆に綱雄の?男上総介義雄に討ち滅ぼされてしまいます。
この時、猪倉城主の鹿沼右衛門は徳雪斎のほうに味方をして鹿沼城を乗っ取り、宇都宮氏と連合して勢力を拡大しようとします。
義雄は、徳雪斎を倒した勢いをかって猪倉城を攻めようと、壬生氏と同盟を結ぶ板倉城主板倉将監親棟に頼み、板倉城を攻めます。
板倉勢に囲まれて危機に瀕した鹿沼右衛門は、宇都宮の出城田気城の芳賀氏の助けを求めようとしますが、幾重にも囲まれた城から抜け出す手段がありません。
そこで、自分の愛犬の首に密書を結び、田気城に走らせますが、愛犬は敵の手中に落ちて殺され、城は落ちてしまったそうです。
村人は勇敢な犬を憐み、戦いが終わった後に小さな塚を築いて手厚く葬ったといいます。

塚の土地の所有者の方には、色々とお話をお聞かせいただいた上で塚を見学させていただきました。
伝承については、親から伝え聞いてはいるものの詳しい内容までは知らない、ということでした。
所有していた、伝説について書かれた書籍のコピーをお渡しできたのですが、すごく喜んでいただいたのが嬉しかったです。
多くの塚を廻り歩く中、こうした伝説が若い世代に伝わり難くなっているのではないかな?とも感じられますし、この『古墳なう』にて少しでも記録を残せればいいかなと思います。
あちこちで、色々な方にお世話になりながら古墳廻りを続けていますが、楽しい時間がずっと続けばいいですね。。。
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次回も、旧今市市の塚を続けます。
<参考文献>
渡辺武雄『故里百話 今市の懐旧』
渡辺武雄『聞き覚え いまいちの伝統と昔話』
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- 2023/05/25(木) 20:46:29|
- 日光市の塚
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こんばんは。
いい話ですね。いつも感心するのですが、地元の方との交流をとても大事にされている事が、色々な記事に溢れています。
交流によって得られる情報も貴重ですし、このような形で還元される事も大切ですね。素敵です(^_-)-☆
- 2023/05/25(木) 23:58:13 |
- URL |
- torikera #frK3hhYY
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こんばんは!
ありがとうございます!
単純に、図書館で調べてもなかなか情報に行きつかないこともあって、地元の人に話しかけてみるようになったのですが、だんだん抵抗がなくなってきました。
貴重なお話をお聞きできることもあるのですが、話し込んで時間が経ってしまうこともあり、一長一短です。。。笑。
- 2023/05/27(土) 19:57:53 |
- URL |
- ご〜ご〜ひでりん #G67hs.TE
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