
「滝野川古墳」は北区滝野川3丁目の旧都立王子工業高校校庭に所在したとされる、北区の遺跡番号26番の古墳です。王子工業高校は2009年3月に閉校しており、現在は2011年4月に開校した王子総合高等学校の敷地となっています。画像はその王子総合高等学校を南西から見たところです。
古墳は校庭の整地のため、昭和37年9月26日から10月6日にかけて王子工業考古学部により緊急調査されています。『日本考古学年報15』には発掘当時の記録が次のように書かれています。
東京都北区滝野川古墳
調査概要 石神井川の第2段丘上にある円墳で、校庭整地のため、緊急調査をしたのであるが、大きさは南北の径約6.2m、東西の径約7.5mである。
発掘は中央部に榎の根が残存していたため、その北部を巾メートル、長さ2メートルにわたってトレンチを入れたところ墳丘の中心より北に巾1.5メートル、厚さ10センチメートルの粘土の張り出しを認めた。南側の相対的位置に巾1.5メートル粘土の拡がりを僅かながら認めることが出来た。中心部は発掘しなかったため南北に認められた粘土のが拡がりが連続するものか否かは不明であった。北部に拡がる粘土層をはいだところ、下はローム粒をまじえた赤褐色土層で、この層から土師器の細片が散布した状態で発見された。表土は攪乱されており、黒土に交じって近世の陶器片が発見された。(『日本考古学年報15』153ページ)
この『日本考古学年報15』には古墳時代の項に記載されていますので当時は古墳であると考えられていたようですが、現在では積極的に古墳であるという根拠に乏しく、塚ではないかと考えられているようです。
<参考文献>
日本考古学協会『日本考古学年報15 昭和37年度』
東京都北区教育委員会『文化財研究紀要 第14集』
- 2014/04/21(月) 03:49:43|
- 北区/その他の古墳・塚
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