
画像は、世田谷区南烏山2丁目にある「カネ塚」を東から見たところです。『東京都遺跡地図』には世田谷区の239番の「中世、近世の塚」として登録されています。
「カネ塚」は、昭和55年(1980)の分布調査の略測では、径11m、高さ1.3mの塚と認められており、この数値が『東京都遺跡地図』にも掲載されています。その後の測量調査では、塚の本来の規模は少なくとも径約12m、高さ1.7m以上はあったと考えられていますが、この周辺は工場建設の際に薄く盛土されており、正確な規模はわからないようです。塚の周囲には幅1m強、深さ10~30cmの浅い周溝が検出されていますが、盛土は黒土のみで築造されているということなので、どうやらこの塚は古墳ではないようです。

この周辺は、かつて烏山城(砦)が築かれた場所と伝えられており、『東京都遺跡地図』には世田谷区の遺跡番号230番の「烏山城(砦)跡」の名称で登録されています。覆土中には宝永の火山灰が認められるそうで、塚は少なくとも宝永以前に築造されたものであり、砦と関連を持つ可能性が考えられています。

塚の頂上には天保10年(1839)の「庚申之碑」が建てられています。この碑石の台石には、半肉彫りの三猿がみられ、砦を築いた由来が記されています。この碑石は形や刻字、石質から江戸時代のものであると鑑定されているそうです。。。
周囲はかなり開発が進んでいるようですが、カネ塚はしっかりと整備されたうえで保存されており、いつでも見学することが出来ます。
<参考文献>
世田谷区教育委員会・世田谷区遺跡調査会『烏山城跡 烏山南原遺跡 予備調査報告所』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
- 2015/03/11(水) 00:48:51|
- 世田谷区/その他の古墳・塚
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