
大田区西六郷1丁目付近に所在したとされるのが「天王木古墳」です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号209番の「古墳(円墳)」として登録されています。
大田区六郷地区周辺は、旧石器時代から弥生時代までの遺跡が発見されていないことからこの時代の詳細は不明とされていますが、古墳時代末期にはこの地域を開発した人たちの家長クラスの古墳が築造されています。「天王木古墳」もこのうちの1基であると考えられている古墳です。
昭和60年(1985)に東京都教育委員会より発行された『都心部の遺跡』ではこの古墳は”遺存”していると書かれています。これは、東京都心部遺跡分布調査団により行われた昭和58年度の分布調査によるものですから、少なくとも昭和58年にはこの古墳は残存していたようです。また、「墳丘の土はほとんど黒色土である。昭和40年代後半に頂部から出土した陶磁器は中世の蔵骨器と考えられ、塚の可能性も推定される。」とも書かれており、古墳であると断定はされていないようです。『東京都遺跡地図』には須恵器の出土が伝えられています。
画像は、「天王木古墳」が所在したと推定されている西六郷1丁目45番地周辺を西から見たところです。昭和58年までは存在していたというこの古墳について何か痕跡が残されているのではないかと期待したのですが、古墳は宅地化により消滅。墳丘上に祀られていたといわれる天王社も見つけることは出来ませんでした。。。
<参考文献>
東京都教育委員会『1985 都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
大田区教育委員会『大田区の文化財第30集 考古学から見た大田区 ―横穴墓・古代・中世 資料集―』
- 2015/08/09(日) 01:07:13|
- 大田区/その他の古墳・塚
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0