「北蒲田古墳」

大田区蒲田2丁目付近に所在したとされるのが「北蒲田古墳」です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号200番の「古墳(円墳)」として登録されています。
昭和5年にこの周辺を調査した松下胤信氏は『蒲田町附近の原始時代遺跡(武蔵野 第16巻 第6号 30~31ページ)』の中で「前二者の北西方約三百米、北蒲田三七七番地に本墳は、人家の密在した中に占地して居る。今破壊甚しく其大部分を人家の敷地に蠶食されて居るが、墳形は正しく圓形を保ち、頂きに小祠を祀つる。精査の結果、封土中より埴瓮片一個の頂き近き所より小高坏部一個を採出した。前者は黄褐色、後者は赤褐色、兩者とも製作頗る脆弱である。」と、当時まだ存在していた「北蒲田古墳」のようすと遺物について記述しています。
その後、昭和60年(1985)に東京都教育委員会より発行された『都心部の遺跡』ではこの古墳について「湮滅」とされていますので、この間に開発により宅地化されて消滅したようです。
画像が、「北蒲田古墳」が所在したとされる蒲田2丁目付近です。道路から少し奥に入ったあたりが古墳の跡地ではないかと思われますが、痕跡は何も残されていないようすで、所在地はわからなくなっているようです。。。
<参考文献>
東京都教育委員会『1985 都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
松下胤信「蒲田町附近の原始時代遺跡」『武蔵野 第16巻 第6号』
大田区教育委員会『大田区の文化財第30集 考古学から見た大田区 ―横穴墓・古代・中世 資料集―』

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