
大田区久が原6丁目付近に所在したとされるのが「スリバチ山古墳」です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号83番の古墳(円墳)として登録されています。
この古墳については、『人類学雑誌 第47巻 第1号』に掲載された中根君郎著「再び東京府下久ヶ原の遺跡に就いて」に記述が見られ、「埴輪圓筒の破片もスリバチ山圓墳の近傍に零細な破片を折々採集したが、報告すべきものもない。が、ここに甚だ細小な破片であるが埴輪土偶の面部の一部分をスリバチ山で採集した。柿の種狀の目と、二本の直線で表現した夫々の眉毛は疑ひもなく土偶であつた。久ヶ原の埴輪の多くがそうである様に之も質は硬く黄褐色である。スリバチ山圓墳も現今では既に見られなくなつた時、一片の之は良き追憶のしるしとなつた。」と書かれています。当時すでに古墳は消滅していたようですが、埴輪片の出土について記されており、古墳が存在したことについては間違いないようです。同書には、「久ヶ原の埴輪の多くがそうである様に…」と、このスリバチ山古墳以外にも複数の古墳が存在したかのような記述も見られます。久が原の台地上において『東京都遺跡地図』に登録されている古墳は「スリバチ山古墳」と「大塚古墳」の2基となっていますが、他にも多くの未確認の古墳が存在していたのでしょうか。
周辺は宅地化が進み、古墳の痕跡を見ることは出来ません。『東京都遺跡地図』によると、画像の右側あたりが古墳の跡地となるようですが、正確な跡地はわからなくなっているようです。。。
<参考文献>
中根君郎「再び東京府下久ヶ原の遺跡に就いて」『人類学雑誌 第47巻 第1号』
東京都教育委員会『1985 都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
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- 2015/10/18(日) 23:35:14|
- 大田区/鵜の木久が原古墳群
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