
「三島塚古墳」は大田区鵜の木1丁目に所在した古墳です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号158番の”古墳”として登録されています。
現在は宅地化されて墳丘の存在しないこの「三島塚古墳」は大正時代末年に墳丘が削平されており、この際に出土した人物形埴輪(女子)の頭部、耳環、直刀は近くの「増明院」に保管されているそうです。その後、この古墳の正確な位置はわからなくなっていたようですが、平成5年(1993)の共同住宅建設工事中に埴輪片が発見されたことにより発掘調査が行われ、なんと2基の古墳の周溝が検出されています。
1号墳は確認部分がわずかであったため形状が不明であるものの、確認部分はくびれ部の一部である可能性が考えられており、墳形は前方後円墳か帆立貝形古墳ではないかと想定されています。「三島塚古墳」とはこの1号墳であるようです。また、隣接して検出された2号墳は直径約25mほどの円墳であると推定されています。1号墳は出土した埴輪片から6世紀の古墳時代中期の、また2号墳は出土した五領期の壺形土器により、6世紀の古墳時代後期に属する古墳であると考えられているようです。
画像は大田区鵜の木1丁目の「三島塚古墳」周辺のようす。この右側あたりが古墳の跡地となりますが、舌状台地の一番高い位置に古墳が存在したことがわかると思います。
画像の左側、坂道を下ったところにはこの「三島塚古墳」の 遺物が保管されている「増明院」があり、またここから100mほど北西には遺跡番号157番の「鵜の木一丁目15番古墳」が、南東には「光明寺荒塚古墳」が現存しています。
<参考文献>
太田区立郷土博物館『大昔の大田区 原始・古代の遺跡ガイドブック』
太田区教育委員会『大田区の埋蔵文化財 第14集』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
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- 2015/12/02(水) 11:50:02|
- 大田区/鵜の木久が原古墳群
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