
御嶽塚古墳群は、JR南武線西府駅南側の府中崖線上に広がる、府中市西端に存在する古墳群です。東西約600m、南北約100mの範囲に分布しており、西端は国立市の「下谷保古墳群」につながると考えられています。当初は「高倉古墳群」の一部であるとされていましたが、古墳の分布に違いが見られることや高倉古墳群との間に小規模な開析谷が入り込んでいることから、現在は別々の古墳群とされています。
「御嶽塚21号墳」は武蔵国府関連遺跡の第1443次調査により確認された古墳です。この当時すでに墳丘は消滅して存在しなかった古墳ですが、調査により周溝が検出されており、推定内径14mほどの周囲に幅約1.5〜2mの周溝が巡る円墳であると考えられています。主体部は検出されていないため詳細不明で、周溝からは土師器の台付甕や壺などが出土しています。
画像は、府中市西府1丁目に残されている「府中崖線」を南西の市川緑道側から見たところです。この地区はニセアカシア、ケヤキ、シラカシといった崖線の自然樹林が保存されており、この崖沿いに多摩川の水や沿線の湧水を集めて流れる市川沿いには緑道が整備されています。この崖線沿いの立川段丘上に存在するのが「御嶽塚古墳群」で、この崖線から80mほど北の地点が御嶽塚21号墳の所在地ということになります。

画像は、東京の名湧水57選にも選ばれている「西府町湧水」です。かつての府中市は、崖線(ハケ)から湧き出る湧水が良質で豊富な土地でしたが、今ではこの西府町湧水が唯一の湧水であるようです。古墳が築造された古代から続く貴重な湧水かも知れませんし、大切にしたい風景ですね。。。
<参考文献>
府中市教育委員会・府中市遺跡調査会『武蔵国府の調査 43』
現地説明版
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- 2016/02/25(木) 00:22:01|
- 府中市/御嶽塚古墳群
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