
「高倉古墳群」は府中市西方、京王線分倍河原駅の西側に広がる立川段丘緩斜面一帯に位置する古墳群です。その多くは墳丘が失われているものの、周溝を持つ直径9~26mの円墳で構成されています。このうち、比較的規模の大きい古墳は木棺直葬であると推測されており、発掘された周溝からの出土品から6世紀前半頃の築造と考えられています。また、規模の小さな古墳は河原石積横穴式石室を主体部に持ち、石室から出土した埋葬品から6世紀後半から7世紀にかけて築造されたと考えられています。
画像は、府中市片町2丁目の「高倉5号墳」の跡地を北西から見たところです。『東京都遺跡地図』には府中市の遺跡番号4-5番の古墳として登録されています。
この古墳は昭和62年の378次調査により周溝が検出されており、復元径は26.8mの円墳であると考えられています。主体部は調査区外に位置すると想定されていて検出されなかったようです。画像の、京王線の線路から奥の道路や集合住宅にかけてが古墳の跡地ということになるようですが、車の運転手さんたちはここが古墳の跡地であるなどとは想像もせず、ガコガコ音を立てながら踏切を渡っていきます。
古墳の被葬者は、大きく変貌したこの現代の風景に何を思うのでしょうか。。。
<参考文献>
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
府中市教育委員会・府中市遺跡調査会『武蔵国府の調査 28』
府中市教育委員会・府中市遺跡調査会『武蔵国府関連遺跡調査報告 40』
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- 2016/03/06(日) 00:14:16|
- 府中市/高倉古墳群
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