
「大井林町1号墳」は、品川区東大井4丁目に所在したとされる、品川区の遺跡番号19番に登録されている古墳です。画像はこの古墳の推定地周辺を南東から見たところです。
この周辺は、江戸時代前半には幕府の敷地であったため大井村御林町と呼ばれ、昭和7年の二十区制により大井林町と称された後、昭和39年の住民表示制度施行により東大井4丁目と改められた地域です。「目黒台」と呼ばれる台地の東端に位置しており、台地の高さは大井林町周辺で14~15メートルほどとなっています。この台地上、現在の大井公園周辺には旧仙台藩伊達陸奥守の下屋敷があり、この伊達家邸内から埴輪片が採集されたことにより古墳の存在が想定されています。
この埴輪片の表面採集を行った徳川義宣氏により執筆された「大井林町古墳」によると、埴輪片の多くは円筒埴輪で、中には人物の腕部や水鳥の足かと思われる破片もあり、形象埴輪も含まれていたと考えられています。調査は表面採集のみで周溝の発掘等も行われていないため、墳丘の規模や形状、古墳の基数等は不明であるようですが、埴輪片は八百坪ほどの庭の全面から採集されたものの台地先端部から20~60メートルの範囲の分布密度がが高かったとされ、最長でも50メートル内外の古墳ではなかったかと推定されています。
この大井林町1号墳の所在地とされる埴輪片採集地は、現在は整地が行われて大きなマンションが立ち並び、地形自体が大きく改変されています。画像の中央付近から左右に立ち並ぶマンションあたりまでが埴輪片採集地となるようですが、残念ながら古墳の痕跡を見つけることは不可能な状況であるようです。。。
<参考文献>
徳川義宣「大井林町古墳」『品川歴史館紀要』第11号
徳川義宣「大井林町古墳 補訂」『品川歴史館紀要』第13号
品川区立品川歴史館『東京の古墳 -品川にも古墳があった-』
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- 2016/08/07(日) 03:11:03|
- 品川区/品川大井古墳群
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