
「カネ塚」は、渋谷区西原町に所在したといわれる古墳で、『東京都遺跡地図』には渋谷区の遺跡番号9番の古墳(円墳)として登録されています。このカネ塚はすでに消滅しており、墳丘の存在しない古墳であるとされていますが、出土した遺物についての伝承が残されており、昭和41年(1966)に発行された『新修 渋谷区史 上巻』には次のように書かれています。
右の円墳のほかは、殆んど不確実であって、あるいは信仰的な盛土であったり、あるいは姿、形を留めない伝承でしかなかったりするものである。たとえば、代々木西原町のカネ塚からは仿製鏡・玉・金環・武装埴輪等が出土し、それらはすべてや銭貨等が出土しているという伝承があり、東京国立博物館に収納されているというが、国立博物館には該当品は見当らないのである。また一方には大正四年の発掘の際には多数の古銭の出土を実見したという人もあり、俚俗談の一概に信ずべからずことをよく示している。 画像は、カネ塚が所在したとされる渋谷区西原3丁目の周辺を南西から見たところです。道路の左側あたりが古墳の跡地であると思われますが、周囲は開発により宅地化が進み、痕跡を見ることはできません。跡地とされる区画は広い敷地の個人の邸宅であることから、例えば狛江市の「猪方小川塚古墳」の事例もあるように敷地内に残存する墳丘が残されている可能性は考えられるかもしれません。ただし、出土したとされる遺物の行方が不明となっていることや、大正4年の発掘の際に多数の古銭の出土を実見したという証言からすると、このカネ塚は古墳ではなく後世の宗教的な塚であった可能性も考えられるかもしれません。残念ながら学術的な調査が行われていないため、これ以上の詳細は不明であるようです。。。
<参考文献>
東京都渋谷区『新修 渋谷区史 上巻』
東京都教育委員会『都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
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- 2016/10/15(土) 23:10:41|
- 渋谷区の古墳・塚
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