
「ナマコ山古墳」は、渋谷区神南2丁目に所在したとされる古墳です。『東京都遺跡地図』には渋谷区の遺跡番号29番として登録されており、その形状から前方後円墳の可能性も指摘されている古墳です。
昭和41年(1966)に発行された『新修 渋谷区史 上巻』にこの古墳についての記述が見られ、存在の不確実な古墳であると前置きしたうえで「旧練兵場(ワシントンハイツ)内のナマコ山は、今は削平されてしまったが、かつては前方後円墳らしき形状を呈していたという説もある。」と書かれています。
その後、昭和57年に行われた東京都心部遺跡分布調査の際に明治42年の1万分の1地形図に墳丘が認められたことにより、古墳のおおよその所在地が確認されており、昭和60年(1985)に発行された『都心部の遺跡』には出土遺物として円筒埴輪が記載されています。
画像は、渋谷区神南2丁目の「NHK放送センター」を南から見たところです。この横断歩道をわたったあたりが古墳の所在地であると思われますが、残念ながら古墳は完全に消滅しており、痕跡はまったく残されていないようです。

画像は、「ナマコ山古墳」の跡地を南西から見上げたところです。道路を登り切った、道が「く」の字に曲がった左側が古墳の跡地です。
この場所はかつては陸軍の練兵場だったところで、終戦後の昭和20年(1945)に連合国軍に接収され、ワシントンハイツが建設されています。インターネットで公開されている国土地理院の『地図・空中写真閲覧サービス』で確認すると、昭和11年と18年に陸軍により撮影された空中写真では、1万分の1地形図で認められる位置に古墳らしき形状を確認することが出来るのですが、昭和20年以降の写真では建物が建てられて消滅していますので、恐らくはワシントンハイツの建設により古墳は破壊されたのかもしれません。
出典:国土地理院ウェブサイト(http://mapps.gsi.go.jp/contentsImageDisplay.do?specificationId=742556&isDetail=true) 画像は、国土地理院ウェブサイトより公開されている、昭和19年に陸軍により撮影されたナマコ山古墳跡地の空中写真のようすです。わかりやすいように跡地周辺を切り取っています。画像の中央に前方後円墳らしき形状を見ることが出来ます。渋谷のど真ん中に前方後円墳が存在したと考えるとわくわくしますが、もし古墳が残されていればちょっとした名所になっていたかもしれませんね。。。
<参考文献>
東京都渋谷区『新修 渋谷区史 上巻』
東京都教育委員会『都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
国土地理院『地図・空中写真閲覧サービス』
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- 2016/10/17(月) 00:42:00|
- 渋谷区の古墳・塚
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| コメント:2
こんにちわ。ご無沙汰しております。
ナマコ山古墳、空中写真初めて見ました。渋谷に古墳、しかも前方後円墳があったなんて驚きですね。
- 2016/10/17(月) 06:08:54 |
- URL |
- kame-naoki #-
- [ 編集 ]
kame-naokiさま、こちらこそご無沙汰しております。
代々木周辺にはかなり多くの古墳が存在したようですが、調査が行われていないのが残念ですね。。。
- 2016/10/18(火) 23:38:11 |
- URL |
- ご〜ご〜ひでりん #OsZoF7Es
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