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古墳なう

「大都市、東京の失われた古墳を探せ!」をテーマに、 ご〜ご〜ひでりんが実際に現地に足を運んで確認した古墳や塚の探訪記録。

「金井塚(庚塚・狐塚)」

「金井塚(庚塚・狐塚)」

 中野区江原1丁目、古くは江古田原の字植木戸のあたりに所在したといわれているのが「金井塚」で、この塚も「江古田・沼袋原の合戦」による戦死者を葬ったといわれる「豊島塚」のうちのひとつであるとされています。画像はこの金井塚の跡地周辺を南から見たところです。

 画像中央の道路が左に折れ曲がった右奥あたりに金井塚は所在したようですが、残念ながら正確な跡地まではわかりませんでした。往時には直径3m、高さ1.5m程もあったという円形の塚で、古い「つげ」の木や雑木がうっそうと茂っていたといわれています。地元の人々は化け物が出ると言って恐れており、土地の所有者も祟りを恐れて塚を壊すことが出来ずにいたそうです。頂部に庚申塔が立てられていたことから「庚(かのえ)塚」とも呼ばれており、また狐が住み着いていたことから「狐塚」とも呼ばれていまたそうです。
 この、金井塚と狐にまつわる言い伝えについては、この地域の郷土誌に記述を見ることが出来るようです。

狐塚・狐の穴 江古田原の片町にあった金井塚は、狐塚(きつねづか)とも呼ばれた。そこには、古狐が棲んでいて、農家から鶏を捕っていっては畑の麦作の畦に埋めた。昔から、この辺では、「狐は鶏を捕って口にたくわえていると歯が焼けるので、一時土をかぶせておき、冷えた時、巣に持ってゆくのだ。」といわれていた。その頃は、農家で鶏が狐にねらわれることは、しきりにあって私の家でも、たびたび鶏を狐に捕られ、取りかえしたことが幾度かあった。狐の穴をのぞくと、鶏の羽根があったのを見たこともあった。狐の棲んでいた場所は、狐塚の外に何ヶ所かあり、江古田氷川神社の裏手の須藤さんの持山にも狐がいるといわれた深い深い穴があった。また、江古田駅の近くにある松の木稲荷の塚にも狐の穴があって、そこで、白い尾の古狐で、大きな犬位あったものを見たことがあった。春の夜など、「ギャフギャフ」とうす気味悪い狐の鳴き声を聞いたことがあった。狐が「コンコン」と啼くのは、嬉しい時の啼き声だと、昔の人はいうていた。この辺の村人たちは、昔から人が狐に化かされるというので、夜になって外出する時は、必ずマッチを持って出てゆき、狐に化かされた時には、マッチをすって火をともすと、狐は、硫黄の臭いがきらいらしいから、逃げてしまう、と信じていた。(『江古田のつれづれ』69ページ)

 この狐は、近所ではけっしていたずらはしなかったが、遠くの農家からたびたび鶏を取ってきたそうである。狐は、口にくわえてきた鶏を塚のある畑のあぜに一時埋めておいて、鶏の体温が冷えてから掘り出して食べるという習性があった。この近所の人たちはそのことをよく知っていて、狐より先に掘り出して、ごちそうにありついたこともしばしばあったと伝えられている。(『中野区の歴史』224ページ)


 狐の穴の言い伝えはやはり古墳の石室の存在を想像してしまうのですが、金井塚が古墳であったかどうかは、塚が消滅してしまった今となっては確かめることは出来ません。この金井塚を含めた、豊島塚といわれるすべての塚は残念ながらすでに破壊されてしまったようです。。。


「金井塚(庚塚・狐塚)」

 江原町3丁目の江古田原観音堂は東福寺の境外仏堂で、地元では「原の観音堂」と呼ばれています。この敷地内には、金井塚の頂部に立てられていたという庚申塔が移されて現存しており、画像の右から2番目がその金井塚の庚申塔です。


「金井塚(庚塚・狐塚)」

 画像が、金井塚唯一の痕跡といえる庚申塔です。宝暦十三年十月吉日、江古田村金左衛門と願主の名が刻まれています。「金井塚」唯一の痕跡といえるものですね。。。
 文久二年の江古田村の古地図には「金井塚」とあるものの、ほかの古地図には「かのへ塚」と書かれていることから、庚申塔が建てられて以降は庚申塚として認知されていたようです。

<参考文献>
堀野良之助『江古田のつれづれ』
関利雄、鎌田優『中野区の歴史』
中野区史跡研究会『東京史跡ガイド⑭ 中野区史跡散歩』
須藤亮作『物語・豊島氏』
矢島英雄『実相院と沼袋、野方、豊玉の歴史』
比田井克仁『伝説と史実のはざま―郷土史と考古学』


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  1. 2016/12/20(火) 01:39:42|
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