
「上布田古墳群」は、多摩川左岸の標高33m付近に位置する、布田5〜6丁目に分布する古墳群です。これまでの発掘調査により円墳5基と河原石積横穴式石室1基が確認されており、また、かつて「布田九塚」と呼ばれた塚群に数えられる「飯盛塚(上布田3号墳)」と「庚塚(上布田4号墳)」が否定されています。「古天神1号墳」は、調布市布田5丁目で発掘調査により確認された古墳で、『東京都遺跡地図』には調布市の遺跡番号53-3番に登録されています。
この古墳は調査時にはすでに墳丘が失われており、昭和54年(1979)に調布市遺跡調査会により行われた発掘調査により、周溝のほぼ全体が検出されています。古墳の規模は、外径約31mの陸橋部を持つブリッジ付円墳で、埋葬施設は検出されなかったものの周溝からは土師器広口壺や坩、椀、高坏が出土しています。築造時期は5世紀前半と推定されているようです。画像が古墳の跡地周辺のようすですが、調査後には宅地化のために整地が行われ、古墳は完全に消滅しています。
この地区は、古くより古天神(ふるてんじん)と呼ばれる、「延喜式」という書物に見られる布多天神社の比定地であるといわれています。「上布田古墳群」に属していながらも「古天神××号墳」という名称がつけられているのはこれが理由であり、現在確認された3号墳までの3基の古墳が台地縁辺部に並ぶように存在していたことがわかっています。今後の調査次第では、未確認の古墳発見の期待が大きい地域ではないでしょうか。。。
<参考文献>
滝沢亮「調布市上布田遺跡の調査」『考古学ジャーナル 昭和58年6月号』
調布市市史編集委員会『調布市史 上巻』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
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- 2017/03/21(火) 00:00:06|
- 調布市/上布田古墳群
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