
画像は、田園調布5丁目にある「馬坂」を南西から見たところです。この坂は大正の頃までは馬をひく荷車で台地上へ上る唯一の坂道であったといわれており、かつては荷車が通れる程度の狭い道であったといわれています。この坂道を登り切った右側あたりに所在したとされる古墳が「西岡27号墳」です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号16番の古墳(円墳)として登録されています。
この古墳は、西岡秀雄氏により行われた荏原台古墳群の分布調査により把握されています。この調査報告が掲載されている「荏原台地に於ける先史及び原始時代の遺跡遺物」『考古学雑誌 第26巻 第5号』には次のように紹介されています。
第二十七號古墳
(所在位置)舊地名 東京都荏原郡東調布町大字上沼部
新地名 東京市大森區田園調布四丁目一二五、池田氏邸内
(型式)圓型墳
(現況其の他)依然其の痕跡があつたが現在は邸宅地となり全く原形を留めない。詳細不明。
(『考古学雑誌 第26巻 第5号』315ページ)
その後、昭和58年(1983年)には東京都心部遺跡分布調査団により分布調査が行われています。この調査結果が掲載されている『都心部の遺跡』には第27号古墳の正確な所在地の住所の記載があり、分布図にはその位置が記されています。画像はその、第27号古墳の跡地周辺のようすです。現在更地となっているこの場所か、隣接する民家のあたりが古墳の跡地であると思われますが、残念ながら古墳の痕跡は見ることが出来ません。これから発掘調査が行われるのでしょうか。。。
<参考文献>
西岡秀雄「荏原台地に於ける先史及び原始時代の遺跡遺物」『考古学雑誌 第26巻 第5号』
東京都教育委員会『都心部の遺跡』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
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- 2017/05/15(月) 08:41:45|
- 大田区/田園調布古墳群
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