古墳なう

ご〜ご〜ひでりんの古墳探訪記

「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 「亀甲山古墳(かめのこやまこふん)」は、東京都大田区田園調布1丁目の多摩川台公園内に所在する古墳です。多摩川下流域左岸の舌状台地上に築造されており、昭和3年(1928)には国の史跡に指定されている、荏原台古墳群中最大の前方後円墳です。『東京都遺跡地図』には大田区の遺跡番号35番の古墳として登録されています。

 画像は、多摩川を挟んだ対岸の川崎市側、南西から亀甲山古墳を見たところです。この古墳は、横から見た形が亀に似ていることから「亀甲山古墳」の名称がつけられたといわれています。墳丘上には樹木が生い茂っており、古墳の形状をはっきりと見ることはできないのですが、森の形からうっすらと亀に似ているとされる前方後円墳の形状を見ることが出来ます。
 古墳は、後円部の裾の一部が浄水場建設工事により削平されており、また前方部も一部削平されているほかは、原形をよく留めているようです。


「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 画像は、亀甲山古墳の後円部を南東から見たところです。手前に見えるのは、大正7年から昭和42年まで、多摩川の水をくみ上げて浄化して周辺地域に水道水を供給していたという「調布浄水場跡」です。浄水場により後円部の裾の一部が削平されています。
 亀甲山古墳については、古くは江戸時代の地誌類に記述を見ることが出来ます。『新編武蔵風土記稿』の下沼部村の亀塚の項には「浅間の西にあり、土人亀塚山といふ、浅間山より少しく高し、されど其事跡をつまびらかにせず、上沼部村亀塚の条合せ見るべし云々、」とあり、上沼部村の亀塚の項には「村の東の方にあり、小山のごとくたてり、又下沼部村にも一所あり、名づけて雌亀雄亀と云、ただかたちの似たるを以て云にや、その故を詳にせず、古くは御放鷹の節御立場になりしこともありと云、百姓弥右衛門の持なり、」と書かれています。同書ではこの亀甲山古墳を「亀塚」、「亀塚山」と記述しており、また宝萊山古墳とこの亀甲山古墳を合わせて「雌亀雄亀」と呼んでいるあたりは、興味深いところです。
 また、『玉川辺亀ノ甲山江右大将様御成記録』という徳川十二代将軍家慶が亀甲山に御上覧された記録が書かれている文献には、亀甲山古墳の名称に「亀ノ甲山」と「ノ」のルビがふられていることから、亀甲山は江戸時代当時から「かめのこやま」と呼ばれていることがわかっています。


「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 画像は南から見た亀甲山古墳です。右手前が後円部で、左奥が前方部です。わずかにくぶれ部の形状を見ることが出来ます。
 昭和62年(1987)から平成元年(1989)にかけて測量調査が行われており、築造当時の墳丘長は107.25m、後円部径66m、前方部幅49.5m、後円部高11.75m、前方部高7.63m全長107.25m、前方部幅49.5m、同高約7.5m、後円部径66m、同高約10mであることがわかっています。
 発掘作業が行われていないことから出土品がなく、築造された年代は不詳とされていますが、墳丘の平面系が、京都府の天皇の杜古墳や奈良県の佐紀陵山古墳と類似することから、4世紀後半の築造と推定されています。これにより、同じ台地上の北西500mに所在する「宝萊山古墳」(東京都指定史跡、東京都指定史跡)に次いで築造された、当時この地方に勢力があった首長の墓と考えられています。


「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 墳丘南側のくびれ部付近には、「史跡 亀甲山古墳」と刻まれた石碑と大田区による案内板が立てられています。

国指定 史跡亀甲山古墳
 この古墳は、大田区から世田谷区におよぶ
荏原(台)古墳群中最大の前方後円墳である。
発掘調査は行われておらず詳細は不明である
が、埴輪、葺石等がないことや、その古墳の
形により、五世紀前半頃の築造と考えられ、
当時、この地方に勢力のあった首長の墓と推
定されている。
この前方後円墳は、後円部南端を浄水場建設
工事により削られているものの、比較的よく
原形を保っている。港区芝公園内にある丸山
古墳とならんで、都内の代表的古墳である。
昭和三年、国の史跡に指定されている。
                 大田区



「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 西から見た亀甲山古墳の前方部のようすです。ちょうどこのあたりが削られているようです。
 この亀甲山は鎌倉時代の古戦場で、この当時の侍が隠れていた穴が多く存在すると地元の人には言い伝えられているようです。亀甲山古墳の南には「亀塚横穴墓群」が、また西側には「多摩川台公園内横穴墓」などの横穴墓が確認されており、おそらくは侍が隠れていた穴とは、当時開口していたかもしれないこれらの横穴墓であると思われます。ひょっとしたら、合戦を生き延びた侍達が、横穴に隠れて雨風を凌いだというようなことが本当にあったのかもしれません。。。


「亀甲山古墳(西岡第46号古墳)」―国指定史跡―

 亀甲山古墳が国の史跡に指定される昭和3年以前には古墳を覆っているフェンスは無く、自由に散策できたことから、周辺の子供たちの遊び場にもなっていたようです。画像は唯一フェンスが存在しない、墳丘を見ることが出来る場所だったのですが、現在は立ち入り禁止となっているようです。。。
 古墳には盗掘を受けた痕跡がないといわれていますが、いつの日か行われるであろう発掘調査でどんな埋葬品が出土するのか、興味は尽きません。。。

<参考文献>
大田区教育委員会『大田区の埋蔵文化財 第12集』
大田区教育委員会『大田区の史跡名勝天然記念物』
大田区立郷土博物館『大田区古墳ハンドブック―多摩川に流れる古代のロマン』
現地説明版


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  1. 2017/07/31(月) 00:58:52|
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