
画像は、世田谷区上野毛にある「稲荷丸古墳」を南西から見たところです。『東京都遺跡地図』には世田谷区の遺跡番号251番の古墳として登録されています。
この古墳は、武蔵野段丘の国分寺崖線の縁辺部に所在します。この周辺は「上野毛稲荷塚古墳」や「野毛大塚古墳」、「御岳山古墳」といった多くの古墳が残されていて「野毛古墳群」を形成しています。この古墳群の西端に位置するのがこの稲荷丸古墳ということになるようです。

墳頂部にはかつては祠が祀られており、そのために石段が設けられています。墳頂部の規模は、南北約14m、東西約10mと広い平坦面となっていて、かなり削平されているようです。径20m前後の円墳と考えられていて、築造時期は遺物などがないためわからないようです。
以前、現地に設置されていた立て札には「北稲荷丸古墳」と刻まれていたのですが、これは最近「稲荷丸古墳」と修正されたようです。また、墳丘上にも「稲荷丸古墳」と刻まれた石碑が建てられたようです。

「稲荷丸古墳」の裏面のようす。「この地は隣接する遺跡(稲荷丸北遺跡)の発掘調査により竪穴内点在貝塚を含むなど縄文時代の前期後半の竪穴式住居も見つかり都内では珍しい諸磯期の集落址が確認されている」と刻まれています。
この古墳は五島美術館の庭園の築山として利用されているため、墳丘の周囲を石仏、灯籠、井戸の石組みといった石造物がめぐっています。一時期は、庭園の工事のために見学することが出来なかったようですが、平成25年(2013)の4月6日より公開されていて、庭園のみなら300円で入場することが出来ます。古墳以外にもなかなか見応えのある庭園です。。。
<参考文献>
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
世田谷区教育委員会・稲荷丸北遺跡第3次調査会『稲荷丸北遺跡Ⅲ』
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- 2017/12/30(土) 01:17:58|
- 世田谷区/野毛古墳群
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