
野毛大塚古墳の出土品は、平成28年に国の重要文化財として一括指定されました。世田谷区世田谷1丁目の世田谷区郷土資料館では、平成28年10月25日(火)から12月4日(日)にかけて特別展、「国重要文化財指定記念 野毛大塚古墳展」が行われ、初公開となる資料も含む150点あまりの出土品が公開されています。
私は、この特別展には平日の朝方に訪れました。時間が早かったせいか見学に訪れる人の数は少なく、ほぼ貸し切り状態でゆっくりと見学することができました。

築造途中の、野毛大塚古墳のミニチュア模型が置かれていました。
帆立貝形という墳形は、百舌鳥・ 古市古墳群の超大型古墳の周辺に造営された中小古墳に採用された形状で、この墳形は、大型前方後円墳の被葬者に次ぐ地位の人物のさらにその下に位置する人物が埋葬される古墳に採用される形態なのだそうです。野毛大塚古墳の被葬者と畿内政権との密接な関係を窺わせる墳形です。。。

野毛大塚古墳出土の埴輪で、二つとも円筒埴輪です。これはどちらもよく見る形状ですね。

同じく野毛大塚古墳出土の埴輪です。左から朝顔形円筒埴輪、鰭付円筒埴輪、柵形埴輪です。
柵形埴輪は、畿内を中心に見られる特殊な埴輪で、上端に山形突起をもつ柵形埴輪の特徴が、畿内周辺に多く出土している囲形埴輪の特徴と一致しており、またその出土位置がほぼ造出の周辺に限定されることなど、多く共通点のあることがわかっているそうです。
画像は、第1主体部から出土した内行花文鏡です。直径11.5cmで、棺内の被葬者の肩部付近と思われる場所の右側に、鏡面を内側に向けた状況で置かれていたそうです。
埋葬施設は、すでに発見されていた組合せ式の箱形石棺である第2主体部とは別に、中央部に第1主体部(粘土槨、割竹形木棺)、その北西側に第3主体部(箱形木棺)、さらにその北西に第4主体部(木棺)と、計4基の存在が明らかになっています。

同じく、第1主体部から出土した鉄刀・鉄剣・鉄槍です。
第1主体部には刀剣類17点、第3主体部には33点が副葬されており、第2主体部の9点、第4主体部の2点と合わせて計61点の鉄製武器の出土は、これまでに知られる関東の古墳の中でも類を見 ない豊富さです。盗掘が行われずに残されていたことも貴重ですね。

第3主体部より出土した鉄刀・鉄剣です。
以下、「野毛大塚古墳(西岡8号墳)」その3に続く。。。
<参考文献>
世田谷区立郷土資料館『国重要文化財指定記念 野毛大塚古墳展』
世田谷区郷土資料館『資料館だより No.65』
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- 2018/01/04(木) 23:43:10|
- 世田谷区/野毛古墳群
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ひでりんさん、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
昨年はblogからたくさん元気をいただき、ありがとうございました。
実は、私の初夢に「宇佐神社」なる山の中のお社が出てきました。神宮じゃなくて、宇佐神社?と半信半疑で調べたら尾山台と川崎市の二つの神社がみつかり、夢の状況からもしかして古墳?とふと検索していたら、なんとひでりんさんの2015年の調査記事に辿り着きました!
私は荏原台古墳群がなぜか怖く、とりわけ野毛大塚古墳の祟りの伝説が衝撃で(一度行ったことがありますが走って帰りました苦笑)以前調査なさっていた荏原台古墳群の記事が熟読できていませんでした。でも、記事を拝読してこの八幡塚古墳は大丈夫そう、、と安心感がもてました。
年明け早々素敵なお年玉をいただいたようで、ありがとうございます!
本年もとても楽しみにしており、また応援させていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
- 2018/01/06(土) 15:48:17 |
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- ruru #-
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ruruさま
あけましておめでとうございます。
いつもコメントありがとうございます。
夢の中でピンポイントに宇佐神社の名前が出てくるとは不思議ですね。確かに、宇佐神社の境内から古墳の場所を見上げると、高級住宅街の中にあって山の中の神社に居るかような錯覚をするかもしれません。
ruruさまは、なにか霊感のような能力をお持ちなのかもしれませんね?
こちらこそ、いつもコメントに勇気づけられています。今年もよろしくお願いいたします!
- 2018/01/08(月) 01:47:12 |
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- ご〜ご〜ひでりん #OsZoF7Es
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