
「上布田古墳群」は、布田5・6丁目に分布する古墳群です。これまでの発掘調査により円墳5基と河原石積横穴式石室1基が確認されており、また、かつて「布田九塚」と呼ばれた塚群に数えられる「飯盛塚(上布田3号墳)」と「庚塚(上布田4号墳)」が否定されています。
画像は、「上布田1号墳」と「同2号墳」の跡地である調布市布田6丁目周辺を南から見たところです。この2基の古墳は、昭和56年(1981)に調布市遺跡調査会により行われた調査により確認されており、『東京都遺跡地図』には1号墳が調布市の遺跡番号53-1番に、2号墳が53-2番に登録されています。
上布田1号墳は、調査時にはすでに墳丘は失われており、版築の状態は確認されなかったそうです。周溝の南東部と西部の一部が検出されており、直径約20mの円墳であると考えられています。埋葬施設は河原石積横穴式石室で、石室内からガラス玉17個が出土しています。
「上布田2号墳」は1号墳の北東約13m、周溝の外側で確認された古墳で、墳丘や周溝は確認されず、地表の下約50cmの深さで河原石積の横穴式石室が検出されています。玄室規模は約1.1×0.4m、幅が奥壁部分で30cm、中央部分が最大45cm、羨道部で23cmと若干の胴張りを呈する小石室で、この石室内からは遺物は出土しなかったそうです。

上布田2号墳の埋葬施設は、発掘調査終了後に小島町3丁目の調布市立郷土博物館の敷地内に移築されて展示されており、画像はその石室のようすです。郷土博物館の正面から入った右手の植え込みの中にひっそりと存在しますが、保存状況はちょっと残念な感じで、目立たない場所に説明板も色褪せています。昨年夏に訪問した際に、新しく買ったカメラで撮影しようと石室の場所を訪れましたが、草ボウボウで草をかき分けないと石材も見えない有様で衝撃的な光景でした。調布市の郷土博物館は何度か訪れたことがあり、スタッフの方にも質問に丁寧に答えていただいたり、資料を頂いたりと親切にしていただいているのですが、この石室だけはもう少し何とかならないものでしょうか。。。
<参考文献>
調布市市史編集委員会『調布市史 上巻』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
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- 2017/03/20(月) 00:41:05|
- 調布市/上布田古墳群
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| コメント:2
確かに、現地保存であればまだしも、わざわざ博物館に移築してこれではちょっと不味いですね…。せめて説明の方だけでも何とかならないんですかね。
- 2012/12/06(木) 20:49:49 |
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- kanageohis1964 #-
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コメントありがとうございます。
そうなんです。大きな予算をかけなくても、何とかする手段はあるように思うのですが。。。
- 2012/12/06(木) 22:45:26 |
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- ご〜ご〜ひでりん #hzwp2T5Q
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