
画像は、八王子市川口町の「調井(ととのい)古墳」を南から見たところです。『東京都遺跡地図』には八王子市の遺跡番号29番に登録されている古墳です。
八王子市内の古墳は、多摩地区所在古墳確認調査団により行われた分布調査により把握されています。平成7年(1995)に発刊された『多摩地区所在古墳確認調査報告書』には、この調井古墳について次のように書かれています。
占地状況:丘陵斜面
墳 丘:東西2m、南北3m、高さ0.5mの地膨れ程度に残存
主体部:石室の一部と推定される石材が露出。
(『多摩地区所在古墳確認調査報告書』8ページ) これが古墳であるならば、かつては丘陵斜面に築かれていたのではないかと考えられますが、現在は宅地建設のために切り崩され、現在は埋葬施設の断面ではないかと考えられる石組みが露出しています。(古墳は、個人所有の敷地内に存在しますので、見学には許可が必要です。)

遺構の周囲の覆土は崩落が進んでいると考えられ、周辺には石材と考えられる河原石が落下して散乱しています。
この遺構も早急な調査と保護が必要なのではないかと思われますが、今のところは現状保存という状況です。。。

訪れた当日、この土地の所有者(かもしれない?)に色々お話を聞くことが出来ました。氏曰く、この埋葬施設らしきの石組みの直下の土が焼土となっていることがとても不思議だ、ということをおっしゃっていたのですが、なるほど確かに石組み直下が、かなり深い位置まで白い焼土となっています。古墳の石室のさらに地中の土がどうなっているのか、私はこれまで考えたこともなかったのでこれにはとてもびっくりしましたが、なかなか興味深い事例であるように思います。今後の調査の進展が待たれるところです。
過去に調井古墳周辺の畑を耕作している際には、同じような石組みの遺構の存在が想定される、鍬の入らない場所が何ヶ所か存在したということもお聞きしました。さらには、調井古墳のさらに西側のスーパーの裏手あたりの台地縁辺部では、かつて古墳が掘り起こされたという伝承も存在するようです。ひょっとしたら周辺には複数の未発掘の古墳が残されており、今後の調査により発見されるという可能性も考えられるかもしれません。
この古墳には二度も訪れて、時間を割いてお話を聞かせていただきました。
楽しい時間をありがとうございました。。。
<参考文献>
八王子市教育委員会『八王子市遺跡地図』
多摩地区所在古墳確認調査団『多摩地区所在古墳確認調査報告書』
東京都教育委員会『東京都遺跡地図』
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- 2018/03/23(金) 00:02:15|
- 八王子市の古墳・塚
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