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古墳なう

「大都市、東京の失われた古墳を探せ!」をテーマに、 ご〜ご〜ひでりんが実際に現地に足を運んで確認した古墳や塚の探訪記録。

「織部塚」

「織部塚跡地」

 「織部塚」は、現在の東大和市桜が丘1丁目あたりに所在したといわれる塚です。
 開発によりすでに消滅して正確な所在地のわからなくなってしまった塚で、『東京都遺跡地図』にも未登録となっているようですが、『里正日誌』や『狹山之栞』といった、この地域について書かれている地誌類にはこの織部塚についての記述があり、『里正日誌』には「砂之台通り青梅道覚養通り弐間道但し織部塚之所五間余之馬立場也是より南小川橋迄弐間云々」と記されています。

 画像は、西武拝島線東大和市駅北側の、現在駐車場になっている周辺のようすです。この一帯は、かつては地主の鎌田家の敷地で、かつては青梅橋(現在の東大和市駅東側あたり。交差点名に「青梅橋」の名称が残されている。)まで他所の土地を踏まずに行くことができたそうです。この現在の駐車場の地点には、かつて「瘡守稲荷」と呼ばれるお稲荷さんが祀られていました。内野家文書にある『奈良橋村青梅橋堀端実測図』に、橋の南西の鎌田喜三郎と書かれた土地に稲荷社らしき建物が描かれており、続いて五間の青梅道が西へ延びています。
 昔は自家の土地のはずれに墓所を営むことが多く、また鎌田家には、この瘡守稲荷と由緒があるという話も伝わっているようです。これらのことから、東大和市より発行された『道と地名と人のくらし』では、奈良橋村および蔵敷分の草分け五軒の中に鎌田織部という人物がおり、織部塚とはこの人の墓所だったのではないかと推測しているようです。また、『里正日誌』の「五間余之馬立場」という記述からして、五間もの広さのある馬立場が存在した場所というと御嶽道が最有力であることからも考えると、織部塚はこの「瘡守稲荷」のあたりが旧地だったのではないかと考えられているようです。


「瘡守稲荷」

 画像は、現在の瘡守稲荷のようすです。小平市小川町1丁目の住宅地の一角に移設されて祀られています。

「青梅橋交差点」

 かつての瘡守稲荷は、江戸時代には青梅橋のたもとにあったといわれています。(ちなみに東大和市駅も、昭和52年(1979)までは青梅橋駅という駅名だったそうです。)青梅橋は、野火止用水が暗渠となったことにより取り壊され、現在は「青梅橋」という交差点名にのみ残されています。
 
 この場所には、小平市教育委員会による説明板が立てられており、次のように書かれています。(先ほどの、織部塚の跡地は東大和市ですが、この青梅橋交差点は小平市にあたります。)

青 梅 橋
Ome-bashi Bridge
 承応4年(1655)、玉川上水から分水
された野火止用水を、青梅街道が横断す
るために架けられました。両岸を石組で
固めた幅約2.5メートル、長さ約4メー
トルの木造の橋でしたが、昭和になって
コンクリート製に架け替えられました。
 架橋から300年余り後の昭和38年
(1963)5月の東村山浄水場の開設にと
もない、玉川上水からの水の取入れが、
この橋のすぐ下流まで野火止用水路を
利用した暗渠となったため、橋は取壊さ
れ、青梅橋の名のみが残りました。

 往時、この橋から丸山台まで、4キロ
メートルにわたって幅約20メートルの
道の中央に一列に植えられた千本桜と
呼ばれる桜並木があり、季節には、近郊
の人々の花見でにぎわったといわれます。

小平市教育委員会 小平郷土研究会



「青梅橋」

 画像は、説明板に掲載されている、昭和27年(1957)の青梅橋のようすです。
 左側に見えるのが庚申塔で、右側の祠が祀られている場所が瘡守稲荷であると思われます。
 塚状に小高くなっているような気もしますし、平らな気もしますし。。。
 よくわかりませんね。笑。。。


「青梅橋の庚申塔」

 現在の青梅橋交差点の小祠のに祀られている庚申塔です。
 その左横には、かつての青梅橋の欄干が残されています。

<参考文献>
東大和市教育委員会『道と地名と人のくらし』
現地説明板


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  1. 2018/04/20(金) 00:10:00|
  2. 東村山市•東大和市の塚
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